日本経済の現状はデフレ経済
デフレはデフレーションを指します。
デフレーションを調べると下記記述になります。
「物価が持続的に下落していく経済現象を指す」
デフレ経済とは、物価が下落していく経済状態だということです。
では本当に今の日本はデフレなのかデータをみてみます。
【デフレを知る】消費者物価指数(CPI)とは何か
消費者物価指数とは、世の中の物価を表す指標になります。
CPIと呼ばれます。
Consumer Price Indexの略で、そのまま翻訳すれば消費者物価指数となります。
ある世帯で1ヶ月に消費したモノやサービスを1つの買い物かごに入れ合計金額を出します。
そしてその翌年に全く同じ物を買ったとして、前年と比較して金額が増えたのか減ったのかを調べます。例えば、基準となる年では30万円で購入し、翌年は30万3千円だったとすると、消費者物価指数は1%上昇しているということになります。
【デフレを知る】消費者物価指数(CPI)とコアCPI
消費者物価指数をCPIと言いますが、コアCPIという指数もあります。
コアCPIとは、消費者物価指数(CPI)のうち、すべての対象商品によって算出される「総合指数」から生鮮食品を除いて計算された指数のことを示す通称
生鮮食品は、天候などの影響で価格が大きく変動します。必ずしも日本経済の情勢を表す物ではありません。
ですから、生鮮食品の影響を排除して物価指数を見る場合コアCPIを見る必要があります。
【デフレを知る】コアコアCPIとは
コアCPIは、生鮮食品の価格変動の影響を除いた物価指数です。
さらにコアコアCPIという指数があります。
天候や市況など外的要因に左右されやすい食料(酒類を除く)とエネルギーを除いて算出した指数の俗称
コアコアCPIとは、コアCPIからさらにエネルギーを除いて算出された消費者物価指数ということになります。
エネルギー資源は、外的要因により大きく価格が変動することがありやはり日本の経済情勢を必ずしも反映しないということでコアコアCPIの指標があります。
日本のコアコアCPI推移
では、天候に左右されやすい生鮮食品や、外的要因で価格が変動するエネルギー関連の影響を除いた日本のコアコアCPI をみてみます。
引用:ファイナンシャルスターさんの図を引用しております
上の図はCPI、コアCPI、コアコアCPIの前年同月比を1971年1月から2019年1月までみています。
2000年付近から日本の物価はほとんど上昇していないことが分かります。
2014年に大きく物価上昇していますが、消費税増税による影響です。
89年に3%、97年に5%、14年に8%にそれぞれ増税していますが、そのタイミングでのみ物価が一時的に上昇していることが分かります。
日本の物価は20年間ほとんど上昇していない
コアコアCPIの推移をみても分かりますが、日本の物価はここ20年間ほとんど上昇していません。
それどころか下落傾向にあると言えます。
つまりデフレ経済ということです。
デフレ経済の何が悪いのか?
日本経済が、デフレ経済ということは間違い無いのですが、それの何が問題なのかについて考えてみたいと思います。
賃金の側面からデフレを考察する
経済は様々な要素が複雑に影響を与え合って変化するもので、1つの側面だけを捉えることは不可能です。
1つ1つ理解するしか無いのですが、重要なのは賃金や雇用に与える影響です。
デフレ経済では、「持続的な物価の下落」という現象が起きます。
しかしそれは卵が先か鶏が先かの話で巡り巡っている話でなのです。
物価が下がること自体は良いじゃ無いかと考える人もいます。
物の値段が安くなることは多くの人が歓迎する話です。
しかし、現実はそんな単純な話ではありません。
物価が下落するということは、コストカットしない限り企業の利益が減少することになります。
つまり、企業を存続させようとすれば必ずコストカットが必要になります。
大企業であればあるほど正社員の給与を下げるのは非常にハードルが高い話です。
しかし非正規雇用やパート、アルバイトにかかる人件費は簡単に下げることができます。
結果、正社員の数が減り、非正規雇用が増えることになります。
事実、日本の非正規雇用数の割合は増加しています。
統計局より引用
長引くデフレにより正社員がリストラされ、非正規雇用が増えた
同じ利益体質であれば、デフレにより持続的に物価が下落すれば、人件費を維持できなくなります。
結果的に、正社員はリストラされ、非正規雇用が増えることになります。
就職氷河期やタイミングで就職できなかった若者は非正規雇用やフリーターを選択せざるを得ない環境です。
非正規雇用の待遇問題は一時期社会問題にもなりました。
まさにデフレ経済を象徴するような話です。
デフレが長引けば正社員の賃金水準も低下あるいは上昇しない
リストラだけで済めば良いですが、デフレ経済が長引けば企業は利益を確保できずあるいは将来不安から、正社員の賃金水準を下げざるを得ませんし、上昇率も下げる方向に向かうでしょう。
現状では、大企業の内部留保が増加しています。
資金をため込んで将来に備える動きをしています。
消費者の購買意欲がないので、リスクをとって設備投資を行う企業が少ない上、いつ売り上げが低迷するかわからない状況ですので、将来に備えて貯蓄するわけです。
貯金では経済成長しない
貯蓄率が高いことは悪いことではありませんが、日本の経済成長を考えた場合足かせになっているのは間違い無いでしょう。
衣食住が確保できないレベルで貯蓄がなければ問題ですが、日本はそうではありません。
将来に対する不安から貯蓄率が高まっています。
経済成長には、政府の財政出動、企業の設備投資、民間の積極的な購買行動が欠かせません。
お金は天下の回りものと言いますが、皆がお金を使うから売り上げが上がり、賃金水準が上がります。
今の日本のケースでは貯金がいくら増えても、消費や投資に回りませんからむしろ経済に悪影響を及ぼしています。
必要なのは、貯蓄を消費や投資に回しても大丈夫だという将来に対する安心感が必要ですが今の日本にはありません。
企業も、個人も含めてお金を使わないことが、賃金をさげ、物価を下落させるという堂々巡りになっています。
まさに負の連鎖状態です。
日本は輸出産業が停滞しているため経済成長していないのか?
経済成長には、内需だけではなく、外需も影響します。
日本の高度経済成長を支えてきた「加工貿易」のイメージが強い人はこのように言いますが、実際には違います。
よく1980年代のアメリカとの貿易摩擦で日本は内需依存型経済に移行したという人もいますが、それも違います。
日本の輸出依存度は15%ほどしかなく、ほとんどは内需から構成されている典型的な内需主導型経済です。
だからこそ、日本国内での消費が活発にならなければ経済成長が難しいと言えるのです。